村上

R A D I O

Vol. 073

本期节目介绍

~二人の伝説のギタリスト  チェット・アトキンスとデュアン・エディ~

こんばんは。村上春樹です。村上RADIO、今日は1950年代後半から60年代にかけて活躍した二人のアメリカ人ギタリストの特集です。チェット・アトキンスとデュアン・エディ。どちらも今では話題に上ることも少なくなったし、「そんな名前は聞いたこともないよ」という方もおられることでしょう。しかしこの二人は、間違えようもないそれぞれの独自のスタイルを持っていて、後輩のギタリストたちに多大な影響を与えました。今日はその二人の残した足どりを辿りたいと思います。

今ではエリック・クラプトンとかジェフ・ベックとか、「ギター・ヒーロー」と呼ばれる人たちが数多く存在していますが、それ以前はギターひとつで名を売るミュージシャンってほとんどいませんでした。ギタリストといえば、どれだけうまくても、だいたいが地味なセッション・ミュージシャンだったんですね。主役はあくまで歌手だった。

しかしそんな中でチェット・アトキンスとデュアン・エディは、自分の名前でメジャー・レーベルからアルバムを出し、ヒットさせることができました。そしてその存在は若いギタリストたちのお手本となりました。「よし、おれもがんばれば、あんなかっこいい存在になれるんだ」ってね。

実は今年1月、ロックバンド「ポリス」のギタリスト、アンディ・サマーズさんがスタジオにわざわざ遊びに来てくれました。ということで、今日はアディさんとの対談も交えてお送りします。楽しんでください。

本期歌单

Tracklist
Mister Guitar

— Chet Atkins
Mister Guitar RCA Victor

チェット・アトキンスは1924年にテネシー州の田舎に生まれ、2001年に77歳で亡くなりました。ナッシュヴィルを中心にソロイスト、セッション・ミュージシャン、プロデュサーとして活躍し、いわゆる「ナッシュヴィル・サウンド」の確立に大きく寄与した人です。

当時のカントリー音楽は、エルヴィス・プレスリーを始めとするロックンロール勢に押されて輝きを失いつつあったんですが、アトキンスが先頭に立って、「カントリー・ルネサンス」とも言うべき新しい流れを打ち立てました。

僕はとくにカントリー音楽のファンというわけではないんですけど、チェット・アトキンスの音楽はなぜか好きで、昔から好んで聴いていました。彼の音楽の良いところは、とてもリラックスして楽しんで聴けることですね。今の世の中、テクニックの達者なギタリストは山ほどいますが、こんなに楽しそうに悠々とギターを弾ける人ってあまりいません。音楽雑誌「ローリング・ストーン」は「歴史に残る100人の偉大なギタリスト」の21位にアトキンスを選んでいます。歴史的にみればもっと上でもいいような気がしますが。

まずは彼の彼らしい演奏を二曲聴いてください。「レインボー」、そしてグレン・ミラー楽団の演奏で有名な「イン・ザ・ムード」。

Finger-Style Guitar

— Chet Atkins
Finger-Style Guitar RCA Victor

チェット・アトキンスは1924年にテネシー州の田舎に生まれ、2001年に77歳で亡くなりました。ナッシュヴィルを中心にソロイスト、セッション・ミュージシャン、プロデュサーとして活躍し、いわゆる「ナッシュヴィル・サウンド」の確立に大きく寄与した人です。

当時のカントリー音楽は、エルヴィス・プレスリーを始めとするロックンロール勢に押されて輝きを失いつつあったんですが、アトキンスが先頭に立って、「カントリー・ルネサンス」とも言うべき新しい流れを打ち立てました。

僕はとくにカントリー音楽のファンというわけではないんですけど、チェット・アトキンスの音楽はなぜか好きで、昔から好んで聴いていました。彼の音楽の良いところは、とてもリラックスして楽しんで聴けることですね。今の世の中、テクニックの達者なギタリストは山ほどいますが、こんなに楽しそうに悠々とギターを弾ける人ってあまりいません。音楽雑誌「ローリング・ストーン」は「歴史に残る100人の偉大なギタリスト」の21位にアトキンスを選んでいます。歴史的にみればもっと上でもいいような気がしますが。

まずは彼の彼らしい演奏を二曲聴いてください。「レインボー」、そしてグレン・ミラー楽団の演奏で有名な「イン・ザ・ムード」。

Mister Guitar

— Chet Atkins
Mister Guitar RCA Victor

チェット・アトキンスはカントリー音楽に限らず、ジャズからロックからクラシック音楽に至るまで、広いレパートリーの楽曲を取り上げて演奏しました。そしてどんな曲でも、自分のスタイルに引き寄せて楽々と心地よさそうに演奏しました。YouTubeで彼の演奏ぶりを見ることができますので、是非ごらんになっていただきたいんですけど、なにしろすごいテクニックです。

彼の演奏は「ピッキングスタイル」と呼ばれていまして、独特のものです。ピックをつけた親指で低音弦を弾き、トントントンと軽やかなベースノートをつけます。そして残りの三本の指でメロディーを奏でます。よくまあそんな器用なことができるものだと感心してしまうんですが、本人はにこにこしながら演奏しています。昔はYouTubeなんてありませんでしたから、「いったいどうやってこんな演奏ができるんだろう?」と不思議に思っていたものです。

それでは彼の広いレパートリーの中から、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番第一楽章と、ビートルズの「アイ・フィール・ファイン」を聴いてください。でもね、僕の持っているレコード・ジャケットのクレジットはチャイコフスキーではなく、「ラフマニノフのハ短調ピアノ協奏曲」になっています。チャイコフスキーとラフマニノフ、どっちでも同じようなものだと思ったんでしょうかね。しかし考えてみればとんでもない間違いですよね。

Chet Atkins Picks On The Beatles

— Chet Atkins
Chet Atkins Picks On The Beatles RCA Victor

チェット・アトキンスはカントリー音楽に限らず、ジャズからロックからクラシック音楽に至るまで、広いレパートリーの楽曲を取り上げて演奏しました。そしてどんな曲でも、自分のスタイルに引き寄せて楽々と心地よさそうに演奏しました。YouTubeで彼の演奏ぶりを見ることができますので、是非ごらんになっていただきたいんですけど、なにしろすごいテクニックです。

彼の演奏は「ピッキングスタイル」と呼ばれていまして、独特のものです。ピックをつけた親指で低音弦を弾き、トントントンと軽やかなベースノートをつけます。そして残りの三本の指でメロディーを奏でます。よくまあそんな器用なことができるものだと感心してしまうんですが、本人はにこにこしながら演奏しています。昔はYouTubeなんてありませんでしたから、「いったいどうやってこんな演奏ができるんだろう?」と不思議に思っていたものです。

それでは彼の広いレパートリーの中から、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番第一楽章と、ビートルズの「アイ・フィール・ファイン」を聴いてください。でもね、僕の持っているレコード・ジャケットのクレジットはチャイコフスキーではなく、「ラフマニノフのハ短調ピアノ協奏曲」になっています。チャイコフスキーとラフマニノフ、どっちでも同じようなものだと思ったんでしょうかね。しかし考えてみればとんでもない間違いですよね。

Teensville

— Chet Atkins
Teensville RCA Victor

うちにはチェット・アトキンスのLPがけっこうたくさんあります。どうしてこんなにあるんだろうと自分でも不思議に思っていたんだけど、要するに中古レコード屋さんに行って、レコードあさりをしていて、ジャズにもクラシックにもロックにもめぼしいものがなく、しょうがないからカントリー音楽のコーナーをぱらぱらと見ているようなとき、アトキンスのレコードが安い値段で売られていると、つい買ってしまうんですよね。そういう事情もあります。せっかくレコード屋に来たからには、何か買って帰りたいと。

あと二曲かけましょう。レイ・チャールズの歌でヒットした「ワン・ミント・ジュレップ(One Mint Julep)」と、ハーモニカも吹くジャズ・ギタリスト、トゥーツ・シールマンズが作曲した「ブルーゼット」です。

<収録中のつぶやき>

これは親指で低音を引きながらこっちでメロディーを引く、すごくややこしいでしょ。テクニックがすごいんだよね。でもそれを感じさせないんですよね。のんびり弾いているように聴こえてしまう。

Progressive Pickin'

— Chet Atkins
Progressive Pickin' RCA Victor

うちにはチェット・アトキンスのLPがけっこうたくさんあります。どうしてこんなにあるんだろうと自分でも不思議に思っていたんだけど、要するに中古レコード屋さんに行って、レコードあさりをしていて、ジャズにもクラシックにもロックにもめぼしいものがなく、しょうがないからカントリー音楽のコーナーをぱらぱらと見ているようなとき、アトキンスのレコードが安い値段で売られていると、つい買ってしまうんですよね。そういう事情もあります。せっかくレコード屋に来たからには、何か買って帰りたいと。

あと二曲かけましょう。レイ・チャールズの歌でヒットした「ワン・ミント・ジュレップ(One Mint Julep)」と、ハーモニカも吹くジャズ・ギタリスト、トゥーツ・シールマンズが作曲した「ブルーゼット」です。

<収録中のつぶやき>

これは親指で低音を引きながらこっちでメロディーを引く、すごくややこしいでしょ。テクニックがすごいんだよね。でもそれを感じさせないんですよね。のんびり弾いているように聴こえてしまう。

Twang Thang - The Duane Eddy Anthology

— Duane Eddy
Twang Thang - The Duane Eddy Anthology Rhino Records

「村上RAIO」今夜は二人の伝説のギタリスト、チェット・アトキンスとデュアン・エディの音楽をお送りしています。

デュアン・エディ、正確にはドウェインと発音するんじゃないかと思うんですが、まあ、別にどっちでもいいです。1938年にニューヨーク州で生まれ、2024年(去年ですね)の四月に亡くなりました。86歳でした。若い頃はジェームズ・ディーンを思わせるシャープなマスクで人気を博し、俳優として映画に何本か出演しています。チェット・アトキンスが南部の田舎町のおっさん風のもっさりした風貌だったのとは対照的ですね。もちろんそちらはそちらでそれなりの味わいがあるんですけど。

デュアン・エディの演奏スタイルはtwangy guitarと呼ばれていました。twangyというのは楽器の弦をビンビン鳴らすことで、低音弦を深く震わせる個性的な奏法のせいで、twangyはエディの代名詞のようになりました。このスタイルはベンチャーズやシャドウズにも影響を与えています。派手なテクニックを見せびらかすのではなく、あくまでクールにギターをうならせるのがエディの売りになっています。かっこいいです。実を言えば、僕はずっと彼のギター・サウンドを携帯の着メロに使っております。

そんなtwangyぶりが遺憾なく発揮されている初期のヒット曲を二曲聴いてください。まず「Rebel Rouser」、これはエディとリー・ヘイゼルウッドが共作した曲で、1958年5月に全米ヒットチャートの6位にまで上がり、ミリオンセラーを記録しました。Rebel Rouser、反逆児、騒動を起こすやつ、みたいな意味ですね。エディの野太いギターに、サキソフォンをからめたスタイルが、これ以降の定番となります。そして続けて、メロディアスな「The Lonely One」、これもエディとヘイゼルウッドの共作です。

Twang Thang - The Duane Eddy Anthology

— Duane Eddy
Twang Thang - The Duane Eddy Anthology Rhino Records

「村上RAIO」今夜は二人の伝説のギタリスト、チェット・アトキンスとデュアン・エディの音楽をお送りしています。

デュアン・エディ、正確にはドウェインと発音するんじゃないかと思うんですが、まあ、別にどっちでもいいです。1938年にニューヨーク州で生まれ、2024年(去年ですね)の四月に亡くなりました。86歳でした。若い頃はジェームズ・ディーンを思わせるシャープなマスクで人気を博し、俳優として映画に何本か出演しています。チェット・アトキンスが南部の田舎町のおっさん風のもっさりした風貌だったのとは対照的ですね。もちろんそちらはそちらでそれなりの味わいがあるんですけど。

デュアン・エディの演奏スタイルはtwangy guitarと呼ばれていました。twangyというのは楽器の弦をビンビン鳴らすことで、低音弦を深く震わせる個性的な奏法のせいで、twangyはエディの代名詞のようになりました。このスタイルはベンチャーズやシャドウズにも影響を与えています。派手なテクニックを見せびらかすのではなく、あくまでクールにギターをうならせるのがエディの売りになっています。かっこいいです。実を言えば、僕はずっと彼のギター・サウンドを携帯の着メロに使っております。

そんなtwangyぶりが遺憾なく発揮されている初期のヒット曲を二曲聴いてください。まず「Rebel Rouser」、これはエディとリー・ヘイゼルウッドが共作した曲で、1958年5月に全米ヒットチャートの6位にまで上がり、ミリオンセラーを記録しました。Rebel Rouser、反逆児、騒動を起こすやつ、みたいな意味ですね。エディの野太いギターに、サキソフォンをからめたスタイルが、これ以降の定番となります。そして続けて、メロディアスな「The Lonely One」、これもエディとヘイゼルウッドの共作です。

Twang Thang - The Duane Eddy Anthology

— Duane Eddy
Twang Thang - The Duane Eddy Anthology Rhino Records

デュアン・エディとチェット・アトキンス、演奏スタイルも音もずいぶん違いますが、二人ともグレッチというメーカーのギターを愛用していました。グレッチ社はチェット・アトキンス・モデルと、デュアン・エディ・モデルという特別モデルを発売しています。

グレッチは60年代ギブソンとフェンダーに押されて経営不振に陥り、生産をやめたんですが、今では復活してリイシュー・モデルを生産しているということです。僕はギターには詳しくないので、どこがどう違うのかまったくわかりませんけど。

英国の前衛的グループ、アート・オブ・ノイズが1986年に、デュアン・エディのギターを大々的にフィーチャーして「ピーター・ガン」をリリースし、ヒットさせています。もともとは1960年にエディがヒットさせた曲だったんですが、これをダンス・ミュージックに作り替えていて、とても楽しい演奏になっています。でもこのアート・オブ・ノイズとの演奏は、以前おかけしたことがあるので、今日はオリジナルの演奏で聴いてください。こちらもかっこいいです。低音弦がなにしろびしびし効いていますね。

それからこれも低音弦を余すことなく響かせる「シャングリラ」を聴いてください。レターメンの歌で有名になった古いバラード曲です。

Twangin' The Golden Hits

— Duane Eddy
Twangin' The Golden Hits RCA Victor

デュアン・エディとチェット・アトキンス、演奏スタイルも音もずいぶん違いますが、二人ともグレッチというメーカーのギターを愛用していました。グレッチ社はチェット・アトキンス・モデルと、デュアン・エディ・モデルという特別モデルを発売しています。

グレッチは60年代ギブソンとフェンダーに押されて経営不振に陥り、生産をやめたんですが、今では復活してリイシュー・モデルを生産しているということです。僕はギターには詳しくないので、どこがどう違うのかまったくわかりませんけど。

英国の前衛的グループ、アート・オブ・ノイズが1986年に、デュアン・エディのギターを大々的にフィーチャーして「ピーター・ガン」をリリースし、ヒットさせています。もともとは1960年にエディがヒットさせた曲だったんですが、これをダンス・ミュージックに作り替えていて、とても楽しい演奏になっています。でもこのアート・オブ・ノイズとの演奏は、以前おかけしたことがあるので、今日はオリジナルの演奏で聴いてください。こちらもかっこいいです。低音弦がなにしろびしびし効いていますね。

それからこれも低音弦を余すことなく響かせる「シャングリラ」を聴いてください。レターメンの歌で有名になった古いバラード曲です。

Twang Thang - The Duane Eddy Anthology

— Duane Eddy
Twang Thang - The Duane Eddy Anthology Rhino Records

デュアン・エディはデビュー以来ずっとジェイミーという、フィラデルフィアの小さなレコード会社からレコードを出していたんですが、1962年にRCAビクターに移籍します。大メジャー・レーベルですね。マイナー・レーベルのスターをメジャー・レーベルが札束を積んで引っ張ってくるというのは、この時代にはよくあることでした。

RCAはその前にエルヴィスを同じようにサン・レコードから引き抜いています。その結果、エディは本拠地をアリゾナ州フェニックスから、ナッシュヴィルの一流スタジオに移すことになります。

エディはRCA移籍後すぐにヒットをとばします。「ギター・マン」です。Dance with the Guiter Man。これもエディとヘイゼルウッドの共作、サキソフォンはジム・ホーンです。全米ヒットチャートの12位まで上がりました。レコーディングはフェニックスで行われたんですが、バックコーラスはハリウッドでオーヴァーダブされました。コーラス・グループはレベレッツとクレジットされていますが、グループの実際の名前はブロッサムズ、ダーリーン・ラブが入っています。

Twang Thang - The Duane Eddy Anthology

— Duane Eddy
Twang Thang - The Duane Eddy Anthology Rhino Records

エディはどういうわけかアメリカ本国より、英国での人気が高く、レコードの売り上げも英国の方が目覚ましくて、イギリスの若者たちの間で一種カルト的な存在になっていたみたいです。ビートルズのギタリスト、ジョージ・ハリソンも十代の頃からデュアン・エディの熱心なファンでした。そして1987年に英国で二人は共演し、レコーディングしています。曲は「The Trembler」。作曲のクレジットはラビ・シャンカールとデュアン・エディとなっています。なんかちょっと不思議な組み合わせですね。聴いてください。ジョージ・ハリソンは憧れのエディのバックで、いかにも楽しそうにスライド・ギターを弾いています。

Chet Atkins In Three Dimensions

— Chet Atkins
Chet Atkins In Three Dimensions RCA Victor

今日のクロージング音楽はチェット・アトキンスの演奏するハインツ・プロヴォスト作曲の「インテルメッツォ(間奏曲)」です。美しい曲ですね。