村上

R A D I O

Vol. 082

本期节目介绍

口笛吹きがんばる 口哨手,加油!

こんばんは、村上春樹です。村上RADIO、11月もそろそろ終わろうとしています。なんのかんの言いながら、秋もそろそろ終わろうとしています。いかがお過ごしでしょうか? 鍋焼きうどんが美味しい季節がまた巡ってきました。さて、今日の特集は温かい鍋焼きうどん……、じゃなくて、口笛入りの曲です。うちにある口笛入りの曲をせっせと集めてみました。けっこう数があります。どうして口笛入りの曲なのか? うーん、とくにこれという理由はありません。あるときふと思いついただけです。次は口笛でいってみようか、ってね。でも秋の終わりにしみじみと口笛を聴くのも、なかなか良きものではないでしょうか?

<オープニング曲>

Donald Fagen「Madison Time」

僕がまだ大学生で、三鷹の草深い田舎のアパートに凶暴な雄猫(おすねこ)と2人で暮らしていた頃、夜のだいたい同じ時刻に、必ず口笛を吹きながらうちの前を通りかかる男の人がいました。姿は見たことがないんですが、その口笛がなにしろやたらうまいんです。音色(おんしょく)も鮮やかで、音程もしっかりしている。で、最初のうちは感心して聴いていたのですが、毎日のようにそれが続くとだんだんうっとうしくなってきました。口笛って、なんかそういうところがありますよね。最初は「うまいなあ」と感心するんだけど、だんだん「うるせえなあ」とか思うようになります。どうしてだろう?

でも今日おかけする口笛入りの曲は、どれもきっとすんなり楽しんでいただけると思います。腕によりをかけて選曲しました。鍋焼きうどんでも食べながらほっこり聴きたいものです。
晚上好,我是村上春树。村上 RADIO,十一月也快要结束了。说着说着,秋天也渐渐走到了尽头。大家过得怎么样?锅烧乌冬面格外好吃的季节,又一次到来了。那么,今天的特辑是热乎乎的锅烧乌冬面……不对,是带有口哨的歌曲。我努力搜罗了一番家里那些有口哨的曲子,数量还真不少。为什么要选带口哨的歌呢?嗯,也没有什么特别的理由。只是有一天忽然想到:“下一期,要不就来做口哨吧。”不过,在秋天快结束的时候,静静地听一听口哨,不也是件挺美好的事吗?

<开场曲>

Donald Fagen《Madison Time》

我还在上大学时,曾和一只凶猛的公猫住在三鹰乡间、野草茂盛处的一间公寓里。那时候,有个男人每天晚上差不多同一时刻,都会一边吹着口哨,一边从我家门前经过。我没见过他的样子,不过,他的口哨吹得实在好,音色鲜明,音准也很稳。起初我听着很是佩服,可天天这样,慢慢就觉得烦了。口哨好像就是有这么一点:一开始会赞叹“吹得真好啊”,渐渐地却开始想“真吵啊”。这是为什么呢?

不过,今天要播放的这些带口哨的曲子,我想大家一定都能舒舒服服地欣赏。我可是使出浑身解数,认真挑选了一番。真想一边吃着锅烧乌冬面,一边暖暖和和地听呢。

本期歌单

Tracklist
The Stranger 30th Anniversary Edition

— Billy Joel
The Stranger 30th Anniversary Edition Sony Music Japan

口笛入りの曲と言えば、否応(いやおう)なくっていうか、何はともあれっていうか、弱ったなあというか……、まずこれが頭に浮かんできますね。ビリー・ジョエルが歌う「The Stranger」。口笛を吹いているのはジョエルさん本人だということです。

哀愁の口笛イントロが、がつんと印象的です。でも途中からがらっとアップテンポのロック・ミュージックに転換します。そしてまた最後に口笛入りの哀愁のアウトロ。構成が凝っています。一筋縄(ひとすじなわ)ではいかない。ちなみに僕とジョエルさんは同じ年の生まれです。僕の方が4ヵ月ほど年上ですが。
一说到带口哨的歌曲,不管愿不愿意,总归绕不开它,真拿它没办法……首先浮现在脑海里的,果然还是这首:比利·乔尔演唱的《The Stranger》。据说,吹口哨的正是乔尔先生本人。

带着哀愁的口哨前奏,一下子就给人留下深刻印象。不过,中途忽然变成了节奏明快的摇滚乐,最后又回到带着口哨的忧伤尾声。结构设计得很讲究,可不是一首简简单单的曲子。顺便一提,我和乔尔先生是同一年出生的,不过,我比他大约早出生四个月。

10 BIG HITS・PAT BOONE

— Pat Boone
10 BIG HITS・PAT BOONE Dot Records

次はがらりと変わってパット・ブーンです。彼の1957年のヒット・ソング、「砂に書いたラブレター」。全米ヒット・チャートの首位に五週間も留まっていました。すごいですね。もともとは1930年代に流行った古い流行歌なんですが、パットがリバイバルさせ、こちらがむしろ定番になりました。途中の間奏部分で口笛が入ってきます。この口笛はパットご本人が吹いているということです。なかなか上手です。

パット・ブーンは僕が10代の始めの頃は、ずいぶん人気がありました。エルヴィス・プレスリーと人気を分け合っていたくらいです。ちょい悪のティーンエイジャーたちはエルヴィス方向に流れ、よい子のティーンエイジャーたちはパット・ブーン方向に流れていたんです。僕はもちろんエルヴィス派だったけど、それでもこの曲なんか、なかなかグッドな出来ですよね。よい子になった雰囲気で聴いてください。パット・ブーン「砂に書いたラブレター」、Love Letters In The Sand。
接下来换个截然不同的风格,听帕特·布恩。这是他1957年的热门歌曲《写在沙上的情书》(Love Letters In The Sand),曾在全美排行榜首位连续停留五周。真厉害啊。它原本是一首20世纪30年代流行过的老歌,经帕特重新演绎后再度走红,反倒是他的版本成了经典。曲子中段的间奏里有口哨,据说也是帕特本人吹的,吹得相当不错。

我刚进十几岁时,帕特·布恩非常受欢迎,甚至能与埃尔维斯·普雷斯利平分秋色。有点叛逆的青少年喜欢埃尔维斯,乖孩子们则偏向帕特·布恩。我当然是埃尔维斯派,不过,即便如此,这首歌也确实做得挺好。请带着当一回乖孩子的心情来听,帕特·布恩的《写在沙上的情书》,《Love Letters In The Sand》。

Soft Samba

— Gary McFarland
Soft Samba Verve Records

ジャズ・ヴァイブラフォン奏者、ゲイリー・マクファーランドのグループが、ボサノヴァのリズムに乗せて演奏する、レノン=マッカトニーの名曲「And I Love Her」。これはほぼ全編に口笛がフィーチャーされています。当時のマクファーランドのバンドには渡辺貞夫さんが入っていたのですが、このレコードの録音のときにはいなかったみたいですね。貞夫さんと話していたとき、マクファーランドの話になったのですが、「あいつはいい奴だったな」みたいな感じで懐かしがっておられました。マクファーランド、若くして亡くなりました。

これは1964年の録音です。口笛を吹いているのが誰なのかは、クレジットはされていません。雰囲気はあるんだけど、ちょっとか細い感じの口笛ですね。全体的にCTIイージーリスニング・ジャズの先駆けみたいなサウンドですが、それもそのはず……というか、後日CTIを立ち上げたクリード・テイラーがこのアルバムをプロデュースしています。

それからもう1曲、続けて聴いてください。

ラヴィン・スプーンフル(The Lovin' Spoonful)の歌うDay Dream、1966年のヒット曲ですね。ジョン・セバスチャンの作った素敵な曲です。このちょっと浮世離れした独特のレイジーなフィーリングは、ラヴィン・スプーンフルならではのものです。曲の途中でかなり素朴な口笛が入ります。誰かはわかりませんが、きっとバンドの誰かが吹いているんでしょうね。

それでは2曲続けて聴いてください。ゲイリー・マクファーランドが演奏する「And I Love Her」。そしてラヴィン・スプーンフルの歌う「Day Dream」。
爵士颤音琴演奏家加里·麦克法兰的乐队,随着波萨诺瓦的节奏,演奏列侬与麦卡特尼的名曲《And I Love Her》。这首曲子几乎从头到尾都以口哨为主。当时渡边贞夫先生是麦克法兰乐队的成员,不过,录这张唱片时,他似乎没有参加。有一次和贞夫先生聊天,谈起麦克法兰,他很怀念地说起“那家伙是个好人啊”之类的话。麦克法兰很年轻就去世了。

这是1964年的录音,没有署名说明是谁吹的口哨。吹得挺有气氛,不过声音稍微有些纤细。整体听起来,像是后来 CTI 那种轻松悦耳的爵士乐的先声。这也难怪……因为这张专辑的制作人,正是后来创办 CTI 的克里德·泰勒。

接下来,请再连续听一首。

The Lovin' Spoonful 乐队演唱的《Day Dream》,是1966年的热门歌曲,由约翰·塞巴斯蒂安创作,是首很棒的歌。那种稍稍远离尘世、独特而慵懒的感觉,正是这支乐队独有的味道。曲子中间穿插着相当质朴的口哨,不知道是谁吹的,不过想必是乐队里的某位成员吧。

那么,请连续听这两首:加里·麦克法兰演奏的《And I Love Her》,以及 The Lovin' Spoonful 演唱的《Day Dream》。

Daydream

— The Lovin' Spoonful
Daydream Kama Sutra

ジャズ・ヴァイブラフォン奏者、ゲイリー・マクファーランドのグループが、ボサノヴァのリズムに乗せて演奏する、レノン=マッカトニーの名曲「And I Love Her」。これはほぼ全編に口笛がフィーチャーされています。当時のマクファーランドのバンドには渡辺貞夫さんが入っていたのですが、このレコードの録音のときにはいなかったみたいですね。貞夫さんと話していたとき、マクファーランドの話になったのですが、「あいつはいい奴だったな」みたいな感じで懐かしがっておられました。マクファーランド、若くして亡くなりました。

これは1964年の録音です。口笛を吹いているのが誰なのかは、クレジットはされていません。雰囲気はあるんだけど、ちょっとか細い感じの口笛ですね。全体的にCTIイージーリスニング・ジャズの先駆けみたいなサウンドですが、それもそのはず……というか、後日CTIを立ち上げたクリード・テイラーがこのアルバムをプロデュースしています。

それからもう1曲、続けて聴いてください。

ラヴィン・スプーンフル(The Lovin' Spoonful)の歌うDay Dream、1966年のヒット曲ですね。ジョン・セバスチャンの作った素敵な曲です。このちょっと浮世離れした独特のレイジーなフィーリングは、ラヴィン・スプーンフルならではのものです。曲の途中でかなり素朴な口笛が入ります。誰かはわかりませんが、きっとバンドの誰かが吹いているんでしょうね。

それでは2曲続けて聴いてください。ゲイリー・マクファーランドが演奏する「And I Love Her」。そしてラヴィン・スプーンフルの歌う「Day Dream」。
爵士颤音琴演奏家加里·麦克法兰的乐队,随着波萨诺瓦的节奏,演奏列侬与麦卡特尼的名曲《And I Love Her》。这首曲子几乎从头到尾都以口哨为主。当时渡边贞夫先生是麦克法兰乐队的成员,不过,录这张唱片时,他似乎没有参加。有一次和贞夫先生聊天,谈起麦克法兰,他很怀念地说起“那家伙是个好人啊”之类的话。麦克法兰很年轻就去世了。

这是1964年的录音,没有署名说明是谁吹的口哨。吹得挺有气氛,不过声音稍微有些纤细。整体听起来,像是后来 CTI 那种轻松悦耳的爵士乐的先声。这也难怪……因为这张专辑的制作人,正是后来创办 CTI 的克里德·泰勒。

接下来,请再连续听一首。

The Lovin' Spoonful 乐队演唱的《Day Dream》,是1966年的热门歌曲,由约翰·塞巴斯蒂安创作,是首很棒的歌。那种稍稍远离尘世、独特而慵懒的感觉,正是这支乐队独有的味道。曲子中间穿插着相当质朴的口哨,不知道是谁吹的,不过想必是乐队里的某位成员吧。

那么,请连续听这两首:加里·麦克法兰演奏的《And I Love Her》,以及 The Lovin' Spoonful 演唱的《Day Dream》。

The Dock Of The Bay

— Otis Redding
The Dock Of The Bay Atlantic

口笛入りっていうことで頭に浮かんでくる曲の1つにオーティス・レディングの歌う「(Sittin' On) The Dock Of The Bay」があります。「港の突堤(とってい)に座って」。口笛は曲の最後の方でちょこっと出てくるだけなのですが、それがすごく印象的に耳に残ります。この口笛を聴くたびに、ああ、オーティス、もう亡くなったんだなあ……と一抹(いちまつ)の寂しさを感じたものです。オーティスはこの録音をおこなった3日後に飛行機事故で亡くなりました。1967年のことです。この「(Sittin' On) The Dock Of The Bay」は彼の死後に全米チャートの首位に輝きました。口笛はオーティス自身が吹いているのでしょうかね? クレジットがないのでわかりません。しかし楽器担当者のクレジットはあっても、口笛のクレジットってまずないんですよね。とても知りたいんだけど。

それからオーティスの音楽とはがらっと雰囲気が違いますが、Gary Lewis & The Playboysの歌う「Save Your Heart For Me」を聴いてください。「君のハートは僕のもの」、1965年に発売されて全米チャートの2位にまで上がりました。ロック・ミュージックがだんだん難しく複雑になり始めた頃に出てきた、お気楽なポップ・グループで、世間的にはかなり軽く見られていましたが、でもなかなかよく作られた曲だと思います。こういうタイプのものも必要なんですよね。けっこうしっかり口笛がフィーチャーされています。

それでは2曲続けて聴いてください。オーティス・レディングが歌う「(Sittin' On) The Dock Of The Bay」。それからGary Lewis & The Playboysが歌う「君のハートは僕のもの」。
说到有口哨的歌曲,还会想到奥蒂斯·雷丁演唱的《(Sittin' On) The Dock Of The Bay》,也就是“坐在海湾的码头上”。口哨只在临近结尾的地方出现了一小段,却格外鲜明地留在耳边。每次听见这段口哨,我都会想:“啊,奥蒂斯已经不在人世了啊……”心里泛起一丝寂寞。奥蒂斯在完成这次录音三天后,因飞机失事而去世,那是1967年的事。《(Sittin' On) The Dock Of The Bay》在他去世后,登上了全美排行榜首位。口哨是奥蒂斯自己吹的吗?因为没有署名,所以我也不知道。不过,唱片上虽然会列出各个乐器的演奏者,却几乎从不注明吹口哨的是谁。我其实很想知道呢。

接下来这首,和奥蒂斯的音乐气氛截然不同,请听加里·刘易斯与花花公子乐队(Gary Lewis & The Playboys)演唱的《Save Your Heart For Me》,日本的歌名意思是“你的心属于我”。这首歌于1965年发行,升到了全美排行榜第二名。他们是在摇滚乐开始逐渐变得深奥、复杂的时候出现的一支轻松随性的流行组合,外界颇有些看轻他们,不过,我觉得这首歌做得相当不错。这样的音乐,也是需要的呀。曲子里,口哨的分量也很足。

那么,请连续听这两首:奥蒂斯·雷丁演唱的《(Sittin' On) The Dock Of The Bay》,以及加里·刘易斯与花花公子乐队演唱的《Save Your Heart For Me》。

The Best Of Gary Lewis & The Playboys

— Gary Lewis & The Playboys
The Best Of Gary Lewis & The Playboys EMI USA

口笛入りっていうことで頭に浮かんでくる曲の1つにオーティス・レディングの歌う「(Sittin' On) The Dock Of The Bay」があります。「港の突堤(とってい)に座って」。口笛は曲の最後の方でちょこっと出てくるだけなのですが、それがすごく印象的に耳に残ります。この口笛を聴くたびに、ああ、オーティス、もう亡くなったんだなあ……と一抹(いちまつ)の寂しさを感じたものです。オーティスはこの録音をおこなった3日後に飛行機事故で亡くなりました。1967年のことです。この「(Sittin' On) The Dock Of The Bay」は彼の死後に全米チャートの首位に輝きました。口笛はオーティス自身が吹いているのでしょうかね? クレジットがないのでわかりません。しかし楽器担当者のクレジットはあっても、口笛のクレジットってまずないんですよね。とても知りたいんだけど。

それからオーティスの音楽とはがらっと雰囲気が違いますが、Gary Lewis & The Playboysの歌う「Save Your Heart For Me」を聴いてください。「君のハートは僕のもの」、1965年に発売されて全米チャートの2位にまで上がりました。ロック・ミュージックがだんだん難しく複雑になり始めた頃に出てきた、お気楽なポップ・グループで、世間的にはかなり軽く見られていましたが、でもなかなかよく作られた曲だと思います。こういうタイプのものも必要なんですよね。けっこうしっかり口笛がフィーチャーされています。

それでは2曲続けて聴いてください。オーティス・レディングが歌う「(Sittin' On) The Dock Of The Bay」。それからGary Lewis & The Playboysが歌う「君のハートは僕のもの」。
说到有口哨的歌曲,还会想到奥蒂斯·雷丁演唱的《(Sittin' On) The Dock Of The Bay》,也就是“坐在海湾的码头上”。口哨只在临近结尾的地方出现了一小段,却格外鲜明地留在耳边。每次听见这段口哨,我都会想:“啊,奥蒂斯已经不在人世了啊……”心里泛起一丝寂寞。奥蒂斯在完成这次录音三天后,因飞机失事而去世,那是1967年的事。《(Sittin' On) The Dock Of The Bay》在他去世后,登上了全美排行榜首位。口哨是奥蒂斯自己吹的吗?因为没有署名,所以我也不知道。不过,唱片上虽然会列出各个乐器的演奏者,却几乎从不注明吹口哨的是谁。我其实很想知道呢。

接下来这首,和奥蒂斯的音乐气氛截然不同,请听加里·刘易斯与花花公子乐队(Gary Lewis & The Playboys)演唱的《Save Your Heart For Me》,日本的歌名意思是“你的心属于我”。这首歌于1965年发行,升到了全美排行榜第二名。他们是在摇滚乐开始逐渐变得深奥、复杂的时候出现的一支轻松随性的流行组合,外界颇有些看轻他们,不过,我觉得这首歌做得相当不错。这样的音乐,也是需要的呀。曲子里,口哨的分量也很足。

那么,请连续听这两首:奥蒂斯·雷丁演唱的《(Sittin' On) The Dock Of The Bay》,以及加里·刘易斯与花花公子乐队演唱的《Save Your Heart For Me》。

Whistle A Happy Tune!

— Fred Lowery
Whistle A Happy Tune! Decca

これまでは部分的に口笛が使われる曲をかけてきたのですが、ここでせっかくですから、全編口笛という本格的なやつをいってみたいと思います。フレッド・ロウリーという口笛専門の演奏家がアメリカにいまして、この人は1909年に生まれて、1984年に亡くなっていますが、盲目だったんです。2歳のときに猩紅熱(しょうこうねつ)にかかって視力の大半を失いました。それで視覚障害者のための訓練施設に入ったのですが、そこで「バード・コール」、鳥寄せの専門家に出会い、いろんな鳥の声の真似を教わります。

しかしロウリーさんは鳥の真似だけでは飽き足らず、それをきっかけとして口笛の奥義(おうぎ)を究め、楽器を持たないヴィルトゥオーゾとしてビッグバンドと共にステージに立ったり、またラジオ番組にレギュラー出演したりして、全国的な人気者になったということです。

この人がロッシーニの「ウィリアム・テル序曲」を吹きます。これ、かなりの熱演ですので、しっかり耳を傾けてあげてください。1960年の録音です。なにしろ65年前に発売された古いアナログ・レコードなので、途中でプチプチッと軽くスクラッチが入りますが、例によって聞こえなかったふりをしてくださいね。

うーん、このエンディング、かなり強烈ですね。感心してしまいます。しかし、こういう人が毎晩うちの前を通りかかったら、やっぱりちょっと疲れるかも……ですね(にゃー)。

<収録中の村上DJのつぶやき>

やっぱり、うまいね。
前面播放的曲子,只是在其中一些部分使用口哨。既然有这个机会,接下来就来点真功夫,听一首从头到尾都用口哨演奏的作品吧。美国曾有位专门表演口哨的演奏家,叫弗雷德·洛里。他出生于1909年,1984年去世,是一位盲人。两岁时,他患上猩红热,失去了大部分视力,于是进入了为视障人士开设的训练机构。在那里,他遇到一位“bird call”,也就是用鸟鸣引鸟的专家,学会了模仿各种鸟叫。

不过,洛里先生并不满足于只模仿鸟鸣,而是以此为契机,钻研口哨的奥妙,成为一位不用乐器的演奏大师。他与大乐队一起登台,也固定出演广播节目,据说成为了在全美广受欢迎的人物。

他将用口哨演奏罗西尼的《威廉·退尔序曲》。这可是一场相当投入的演奏,请认真听听。这是1960年的录音。毕竟是一张65年前发行的老黑胶唱片,中间会出现轻微的噼啪杂音,不过,请照例装作没听见吧。

嗯,这个结尾,真够强烈的,让人不得不佩服。不过,要是这样的人每天晚上都从我家门前经过,果然还是会有点累吧……。(喵——)

<录音时村上 DJ 的随口一说>

果然,吹得真好啊。

A Certain Mr. Jobim

— Antonio Carlos Jobim
A Certain Mr. Jobim Warner Bros. Records

今度はボサノヴァを聴いてください。アントニオ・カルロス・ジョビンが「オトラ・ヴェス(Once Again)」を演奏します。

ギターを弾いているのはジョビンで、編曲はクラウス・オーガーマンですが、口笛のクレジットはやはりありません。あるいはジョビン本人が吹いているのかも知れません。しかしボサノヴァと口笛って、なんか共感性みたいなのがあるんでしょうか、とてもしっくりと馴染みますね。
这回,请听波萨诺瓦。安东尼奥·卡洛斯·若宾演奏《Outra Vez》,也就是《Once Again》。

吉他由若宾弹奏,编曲是克劳斯·奥格曼,不过,依然没有注明是谁吹的口哨。也许是若宾本人吹的吧。不过,波萨诺瓦和口哨之间,是不是有一种相通的气质呢?听起来真是非常合拍。

Standing Room Only!

— The Highwaymen
Standing Room Only! United Artists Records

共感性といえば、口笛はフォークソングやカントリー・ミュージックにもしっくり馴染みます。1960年代に活躍したフォーク・ソング・グループ、ハイウェイメンの歌を聴いてください。ハイウェイメンは「漕げよマイケル」のヒットで知られていて、こちらにもしっかり口笛が入っていますが、今日は「The Gypsy Rover」を聴いてください。「さすらいのジプシー」、僕は中学生のときこのシングル盤をバーゲンで100円か200円で買いました。この曲にも口笛がたっぷりアレンジされています。

一度、ハーヴァード大学の偉い女性教授と話していたとき、音楽のことが話題になりまして、彼女が僕に「実は学生時代、ハイウェイメンっていうフォーク・バンドの〇〇くんが私のボーイフレンドだったの」と打ち明けてくれました。それで僕がずっと昔「The Gypsy Rover」のレコードを買った話をしたら、彼女はとても喜んでくれて、話がけっこう盛り上がりました。「漕げよマイケル」はみんな知っているけど「The Gypsy Rover」を知っている人は少ないですから。しかしハイウェイメンに限らず、当時のフォークソング・グループをやっていたのは、ハーヴァードみたいなエリート大学の学生が多かったんですね。いわば、いいとこのお坊ちゃんの趣味の音楽だった。そんな中にボブ・ディランみたいな野人(やじん)がぽこっと出てきたものだから、その衝撃は大きかったんですね。

ハイウェイメンが歌います。「The Gypsy Rover(さすらいのジプシー)」。1人のジプシーが、口笛を吹きながら丘を超えてやってきて、美しいお姫様の心を奪ってしまいます。放送で「ジプシー」っていう言葉はあまり口にしちゃいけないんですが、歌の題だからこれはしょうがないですよね。その部分に「ピー」って音を入れるわけにもいきませんし。
说到相通的气质,口哨与民谣、乡村音乐也十分合拍。请听20世纪60年代活跃的民谣组合 Highwaymen 的歌。他们以《划吧,迈克尔》这首热门歌曲为人所知,那首歌里也有不少口哨,不过,今天请听《The Gypsy Rover》,也就是“流浪的吉卜赛人”。我在初中时,曾在特价区花100或200日元买下这张单曲唱片。这首歌的编曲里,也安排了许多口哨。

有一次,我和哈佛大学一位很有声望的女教授聊天,谈起音乐,她告诉我:“其实,我学生时代的男朋友,就是 Highwaymen 那支民谣乐队里的某某。”于是我说起很久以前买过《The Gypsy Rover》唱片的事,她特别高兴,我们聊得相当投机。因为《划吧,迈克尔》谁都知道,但知道《The Gypsy Rover》的人却不多。不过,不仅是 Highwaymen,当时组民谣乐队的,有很多是哈佛这类精英大学的学生。可以说,那是家境优越的公子哥儿们出于兴趣做的音乐。正因为如此,当鲍勃·迪伦这样一个野性十足的人,突然冒到他们中间时,带来的冲击才格外巨大。

请听 Highwaymen 演唱的《The Gypsy Rover》,《流浪的吉卜赛人》。一个吉卜赛人吹着口哨,越过山丘而来,俘获了美丽公主的心。在广播里,“吉卜赛人”这个词不太宜随便说出口,不过,这是歌名,也没办法呢,总不能在那个地方加一声“哔——”吧。

Tumbling Tumbleweeds - The RCA Victor Years, Vol. 1

— Sons Of The Pioneers
Tumbling Tumbleweeds - The RCA Victor Years, Vol. 1 RCA

カントリー音楽を聴いてください。「Sons Of The Pioneers(開拓者の息子たち)」という名前のコーラス・グループが歌います。Tumbling Tumbleweeds。

タンブルウィーズというのは日本語では「回転草(かいてんぐさ)」と訳されていますが、根元からぽきっと折れて、丸いボールみたいになって、風に吹かれてころころ転がっていく植物のことです。そういう風に移動して、生育範囲を広げていきます。西部劇映画を観ていると、よく出てきます。歌の途中で口笛が入りますが、いかにものんびり西部っぽくて素敵です。録音は1946年です。この飄々(ひょうひょう)とした歌、僕はなぜかわりに昔から好きです。
请听一首乡村音乐。演唱的是名为 Sons Of The Pioneers,也就是“拓荒者之子”的合唱组合。《Tumbling Tumbleweeds》。

Tumbleweeds 就是风滚草,日语译作“回转草”。它从根部折断,像一个圆球,被风吹着骨碌碌地滚动,通过这样的移动扩大生长范围。看西部片时,经常能见到它。歌唱到中间会加入口哨,悠闲自在,满是西部气息,真好听。这是1946年的录音。不知道为什么,我从很久以前就挺喜欢这首洒脱自在的歌。

Capitol Collectors Series

— The Seekers
Capitol Collectors Series Capitol Records

口笛が印象に残る曲というと、シーカーズの「ジョージー・ガール」もその1つですね。1967年のヒット曲、同名の映画の主題歌です。シーカーズはオーストラリアのグループで、まずイギリスで、それからアメリカで大ブレークしました。そして彼らに続いて、多くのオーストラリア出身のバンドが世界的に活躍するようになりました。ビージーズ、オリビア・ニュートン・ジョン、メン・アット・ワーク、エアサプライ、AC/DC、インエクセス、カイリー・ミノーグ……数え上げるとキリがありません。でもそれまではオーストラリアってほとんど見向きもされない、音楽不毛の地だったんです。シーカーズがその草分け的な存在でした。聴いてください。シーカーズが歌う「ジョージー・ガール」 说到口哨令人印象深刻的歌曲,寻觅者乐队(The Seekers)的《Georgy Girl》也是其中之一。这是1967年的热门歌曲,也是同名电影的主题曲。寻觅者是一支澳大利亚乐队,先在英国,随后在美国大获成功。在他们之后,许多来自澳大利亚的乐队和歌手也开始活跃于世界舞台:比吉斯、奥莉维亚·纽顿-约翰、Men At Work、Air Supply、AC/DC、INXS、凯莉·米洛……数也数不完。不过在那之前,澳大利亚几乎无人关注,被视为音乐的荒芜之地,寻觅者正是开路先锋。请听,寻觅者乐队演唱的《Georgy Girl》。

Simple Pleasures

— Bobby McFerrin
Simple Pleasures EMI Records

最後になりますが、ボビー・マクファーリンの「Don't Worry, Be Happy」をかけます。「くよくよするな、ハッピーでいこうぜ」、体全体が楽器というマクファーリンさんですから、口笛を吹いているのももちろんマクファーリンさんご本人です。みなさんもくよくよしないで、ハッピーになってくださいね。 最后,播放鲍比·麦克费林的《Don't Worry, Be Happy》,也就是“别发愁,开开心心地过吧”。麦克费林先生全身都能当作乐器,所以吹口哨的,当然也是他本人。也请大家别再忧心忡忡,开开心心地生活吧。

DonatoDeodato

— João Donato Arranged And Conducted By Deodato
DonatoDeodato Muse Records

今日のクロージング音楽はブラジルのミュージシャン、ボサノヴァ音楽の草分けの1人、ジョアン・ドナートが演奏する「ホイッスル・ストップ」です。口笛を吹いているのはロメオ・パンケという人です。この人の担当楽器は「flute & whistle」とちゃんとクレジットされています。そうですよね、口笛だって立派な楽器です。差別してはいけない。しかしとても軽快な演奏ですね。キーボードを弾いているのはエウミール・デオダートとジョアン・ドナート、トランペットはランディ・ブレッカーです。 今天的结束曲,是巴西音乐家、波萨诺瓦先驱之一若昂·多纳托演奏的《Whistle Stop》。吹口哨的是一位叫罗密欧·潘克的人,唱片上清清楚楚地把他负责的乐器写成了“flute & whistle”,也就是“长笛与口哨”。没错,口哨当然也是一件正经乐器,不能歧视它。不过,这演奏真是轻快啊。键盘由尤米尔·德奥达托和若昂·多纳托演奏,小号是兰迪·布雷克。